NPOに対する寄付と評価とキャパシティビルディング 〜千葉市川は・・・〜

あるNPOが,地域や社会から支持されているのかどうか,そして行政・自治体のNPOに対する評価もあわせて,「NPOの評価」という問題がめちゃくちゃ難しくなってしまっている日本.

なぜだろう・・・(%ショボ男%)

現在の日本では,NPOの支持・評価,現実的には次の2つしか正当性が無いと思います.
特に,NPOの現場に携わるようになってからは切実に感じます.

(%赤点%)「お金を出す人」自身(寄付者・会員など)が,自分のお金の使途について,NPOを選ぶ

(%赤点%)「権利を持った人」自身(納税者,失業者など)が,自分の権利行使の際に,NPOを選ぶ.
→ハンガリーの国税1%寄付制度;NIOK,失業者に対する公的職業訓練の権利行使(英国など),公的保育サービス受給権の権利行使(北欧など)など.

欧米にはもう1つ正当性があって,それは,
(%赤点%)「プログラムオフィサー」が,自らの経験に基づいて,NPOを選ぶ
 寄付を仲介する寄付財団などには「プログラムオフィサー」がいて,彼らが今もっている情報の中からベストな選択をしてくれます.ベストな選択というのは,当該地域の何百・何千のNPOの現場を実際に見て,NPOスタッフとコミュニケーションを取って,プログラムオフィサー間で情報を共有して,そしてNPOの相互比較を常に行うことで養われた,確かな”NPOを見る目”から判断される選択です.

NPOの資金調達では,ユニークで,ある意味理想的なハンガリーの1%寄付制度.
日本では,そのハンガリーをモデルとしたとされる千葉県市川市の1%寄付制度同概要が2005年度から始まりました.

期待していたのですが,NPOを社会の3つめの選択肢にしようとする欧米のコンセプトと比べると・・・根本的にズレていて....(%ショック男%)
例えば,
(%涙%)団体の維持運営経費(人件費,事務所家賃)は対象外
 →この考え方,欧米は全く逆.この評価軸がNPOをダメにしていき,日本社会もダメにしていくのです!!(%ショボ男%)
 →なぜなら,NPOのキャパシティビルディングにつながらないためです

(%涙%)50%助成で申請事業規模は20〜70万程度がほとんど.
 →おそらく税金が原資ということで,既存の助成制度以上に手続きが煩雑になる可能性大.
 →しかも,50%の自己調達資金が必要.事務手続きコストばかりかかって,かえってNPOの負担になるのでは・・・

もっとシンプルで,利用者や寄付者の意見・感覚がダイレクトに反映される評価システム,これが必要なんです!!(%ニコ男%)

この観点が無いために,NPO間の合意形成,行政をめぐるNPOの仲良しクラブや非創造的な喧嘩,非生産的なロビー活動ばかり展開するNPOなどの問題がでてくるんじゃないかと.
で,こういう”何も決まらない・進まない”的雰囲気が,フットワークの軽いNPOにもダメージを与えていくわけで・・・

ハンガリーの1%寄付にしても,米国のNPOに対する寄付にしても,ごく当たり前のことなんですが,①寄付先は寄付者である個人が指定・選択できます.
特定のNPOを指定できるし,環境や子供といったように分野を指定することもできます.
そしてその使途は,②NPOのキャパシティビルディングに有効であることが求められます.

(%赤点%)この2つが揃って,はじめて先進国のNPOの資金調達基盤となります.(%ニコ男%)

個人が,自分のお金を,自分の意思で,NPOに寄付する」からこそ,NPOにはしっかりとした説明責任が生じるし,寄付という重要な社会基盤が育つことになります.
そうすることで,寄付者とNPOがGoodなコミュニケーションを取って,中長期的にNPOのサポーターになってくれる道もできます.
 例えば,親子で学校が休みのときに,実際にNPOの提供するプログラムに参加して,NPOを肌で感じて,毎年親子で相談してどこのNPOに寄付するか決定する,このようなことが当たり前のこととなれば,教育的にも社会基盤整備という意味でも好ましいことと思います.(%ニコ男%)

が,日本の寄付の現状はというと・・・,個人が決める,ということにはならないケースが多いのです.○○基金のように広く社会から寄付を集めて分配するようなケースでは.
第3者評価委員会などという不透明な決め方をしてしまうし,さらに,寄付先のアフターフォローをあまりしないのです...(%ショボ男%)

そういう観点からは,千葉市川の寄付制度は新しくて重要な試みです.
しかし,肝心の「NPOのキャパシティビルディング」という点では,これまでと全く変わらない事務負担ばかり強いられる助成制度のままなので,結果としては非常に残念な・・・となってしまうわけです.

寄付者に寄付先の選択を委ね,同時に,寄付先NPOのキャパシティビルディングを支援して寄付者の期待に応えられるようにする.
SDFの基本コンセプトは,既存の助成制度や財団助成とは異なります.
NPOの現場が求めている支援を実現していきたいですね.
(%笑う男%)