ネパールの日本語学校〜若手ITエンジニアの日本語学習

友人より

学校名: WDN社内日本語クラス
クラス数: 午前 1、 午後 1
1クラス人数: 5〜6人
授業時間:午前クラス 9:00〜12:00
 午後クラス 1:00〜4:00
学習者: WDN社員(ITエンジニア)・男性のみ
教師数:専任1人 非常勤0人 補助 1人
JLPT合格者:8人/11人中

これは実験的プロジェクトで、ネパールの大手WDN社と日本のジャパール社が提携して若手ITエンジニアに日本語を教え、日本企業へ派遣すると言うものだった。日本企業に就職させるためには少なくともJLPT2級もしくは3級を持っていることが条件だったため、日本語学習経験がない学習者を1年でそのレベルまで上げなければならなかった。学習者はWDN社員であったので、仕事との合間を縫っての授業となり、彼らにとっては、本業との両立がかなりハードだったと考えられる。WDN社とジャパール社間のトラブルから2年でプロジェクトはうちきりとなったが、現在当時の学習者のうち7人は日本にて、某日本大手企業で働いている。

ある日の授業:
『みんなの家で、いつも買ってあるものは何?』
今日の午前クラスの勉強は『〜してある・〜しておく(準備)』の文法。
今日もITのエリート君たちは一生懸命答えを考える。

『うぅ〜〜〜ん。私の家に買ってあるものは・・・・米や、水や、シャンプーや・・・・』
とスディップ(生徒の名前)が答えると、ビネス(生徒の名前)がすかさず突っ込む。

『スディプさんの答えは いつもおもしろくはありません。』
(おいおい、授業は笑点じゃないぞ!)

『先生。おもしろい答えじゃないと×ですか?』
心配性スンダラ(生徒の名前)が眉間に皺を寄せて質問する。

『私の家は家内が買い物をするので、私は家になにがあるかわかりません。』
午前クラスのリーダー ラジバ(生徒の名前)が口を尖らせる。
(おいおい、それじゃぁ、一昔前の日本の親父さんじゃないか・・・)

で、しょうがないから、ヒントを出した。
『例えばトイレットペーパーはいつもみんなの家にあるでしょ?』
みんなキョトンとしている。

『・・・・・・ありませんか?』

『はい、ありません。先生はいつもトイレットペーパーを使いますか?』
と、みんな一斉に私に注目した。

『はい、いつも。じゃあ、どうやってみんなは・・(その先は聞けない)』と私は戸惑った。

『普段は左手を使って水で洗います。日本は違いますか?』

ここにきて早4ヶ月。ようやくなぞが解けた。なぜトイレの横に水のはられた大きなバケツがあるのか。なぜどのトイレにもトイレットペーパーが無いのか。なぜ私だけがトイレットペーパ-を持ち歩いていたのか。
今日は大変勉強になりました。