この「オーダーメイドの避難訓練」の練習は、萩野茂樹の個人的なボランティア活動であることをお断りします。
岩手県野田村や陸前高田市でボランティアとして活動し、被災した風景を見た者として何ができるだろうと考えていました。
以前からの知り合いである、志摩市視覚障害者協会会長の方と話をする中で、視覚障害者の皆さんの抱えるいろいろな問題点を見つけました。
6月24日は、志摩市の会長のお宅にお伺いし、問題点を検証します。
当日何をするのか
●自宅内での危険や出口の確認
地震が発生した場合、家具などが家の中に散乱すると予想されます。
視覚障害の方の場合、どのような状態であるのかはすぐには把握できず、全体の状況が分からないまま、出口まで手探りで行く必要があります。また、混乱のため、出口への方向感覚を失う可能性もあります。
今回は、会長のお宅をモデルに、どの程度家具が散乱するのか? どの程度家具の固定の必要があるのか?出口を見つけやすくする工夫は無いか?を検討します。
また、視覚障害の方が避難する際には不可欠な白杖や靴等を、玄関近くの落下しない場所に固定する方法があるのか?等を検証します。
●津波避難ルートの確認
と言っても、場所にもよりますが、基本的には遠い所にある津波避難所まで、単独で行く練習は考えていません。
地震が発生し津波の危険を察知したら、「視覚障害の方はとりあえず広い道まで出る」事です。広い道に出て大声を出せば、避難する方から手助けが得られると思います。
避難ルートとは、自宅から広い道に出るまでの経路で、そこに生じるであろう障害物の可能性を伝えます。
●ハザードマップ等の地域の情報を伝える
ハザードマップは三重県のホームページを見れば分かりますが、視覚障害の方には伝えられていないようです。
会長ご夫婦は、お二人とも全盲ですが、お住まいは市街の中心近く。治療院を営まれ、志摩市視覚障害者協会の会長の他点字サークルも開かれている、いわば周囲に非常に知り合いの多い方です。
しかし、みなさんすべてがそうではありません。
家族と同居し自身ではほとんど単独歩行の経験が無い方、海岸の直近に住む方、
住宅密集地の外に住む方等。
志摩市視覚障害者協会に加入されているのは市内の視覚障害者の1割程度とも伺いました。
上記以外にもいろいろな問題点が見つかると思います。
すぐに解決できない問題も多くありますが、しかし、その問題点すら認識されていないという状況もあります。
「災害時要援護者」という、さまざなま障害を一緒くたにした言い方が、それぞれの問題をわからなくしている部分も有ります。
東日本大震災後に言われた「想定外」は、まだまだ残っていると思っています。
どこまでできるか分かりませんが、「想定外」を少しでも「想定内」にしておくことが今回の目的のひとつです。
もちろん、視覚障害の方の対応を考えれば良しではなく、このノウハウを他の障害をお持ちの方にも広げていくことも大切な事だと思っています。