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昨年11月11日午前3時ごろ尼崎市のマンションで、85歳の夫が認知症を患う80歳の妻を絞殺する事件がありました。
のんびり倶楽部の話の中でも取り上げられ、非常にショッキングな事件でした。
橋本被告は事件の10日前、自宅近くの医院で「大腸がんの可能性がある」と告げられ犯行前日の夕方、激しい腹痛に見舞われ、「もう長くない」と思い込み、電灯のひもで寝ていた妻の首を絞めました。
家事や介護は一人でしており、妻が認知症を患っていることは、知人や近所の人は知らなかったそうです。
【何故、誰にも相談しなかったのか】
公判で橋本被告は「息子が亡くなった時にひどく落ち込んだ妻の姿を見てから、
『自分が一生妻を守り続ける』と決めていた」
「人に迷惑をかけたくなかった」
「介護がつらいとは一度も思わなかった。妻がいてくれるだけでよかった」
と述べたそうです。
【判決】
渡邊裁判長は「もう少し現代医学や社会福祉機関を信じてくれたら、この結果にはならなかった。残念な犯行」と述べたが、夫の名前がわからなくなった妻を約6年にわたり献身的に介護してきたと認定した。
「1人で介護の責任を担った末に判断を誤ったもので、厳しい非難を加えるのは相当ではない」と述べ、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)を言い渡した。
判決を聞いた橋本被告は裁判長に向かって黙って頭を下げた。
橋本被告は妻の介護について公的な福祉サービスを頼ったことがなく、これまでの公判では「手術をして元気になれるなら、親類などに相談しておけばよかった。妻を手にかけたのは間違いだった」と述べたそうです。
【男性介護者の特徴的な介護】
「自分が一生介護を続ける」
「人に迷惑をかけたくない」
「介護がつらいとは思わない」
という、男性介護者の特徴的な介護のケースだと思います。
男性が弱みを見せることの難しさ、必要性をつくづく考えさせられます。
男性介護者の集い「のんびり倶楽部」は二度とこのような悲劇を起こさないためにも
微力ながら続ける必要があるのですね。