本棚の片隅から 〜 脱資本主義宣言 (鶴見済 著)

「脱資本主義」といっても、即社会主義・共産主義礼賛ではない。”行き過ぎた”資本主義がどのように裏で操作をし、それにより弱者(途上国や自然環境)が虐げられる現状をいくつもの例で語る。若年層向けと思しき論調や文体ではあるものの、様々な分野の問題が提起され、なかなか興味深い。
 国内市場が飽和状態なった次の矛先として海外の市場を切り拓いてゆく先進国(特に米国)の手法や、消費意欲を引き出すための心理操作など、ある程度わかってはいても思わず背筋が寒くなる。
 主義・思想についてはそれぞれであるのでここで判断をするものではないが、廃棄される家電の行く先に、いやその一杯のコーヒーの向こうに遠く海外で起こっている事実を知ることは、世界に影響を与える先進国に暮らす私たちの責務ではないか、と考えさせられた。