母校には感謝しているので。

僕は加古川西高校というところを出て
神戸芸術工科大学のファッションデザイン学科をでた。
同じ大学に職員として4年勤めて、3年前に辞めて独立。

高校も、大学もとてものんびりした校風で
寂しくてきれいな夕日が見れて、
無駄ではない「空白の時間」がたくさんあったと思う。

そして今の自分に向いているものは何か、
ということを気づいたのが大学卒業の1ヶ月前ぐらいで
それを確信したのは、大学の職員を辞める1ヶ月ぐらいまえ

今の「コーティネーター」と言う仕事の原点が
まるまるここにあったような気がするのである。
僕はひとのお世話をすることが向いていた
ただし、向いているけど自分の得意なことではなかった。

芸工大(と普通は略す)にいたとき、
僕は実家から2時間近くかかったので
たくさん本を読んでたくさん音楽を聞いた。
たくさん考えて書き留めて、
でもそれを作品に反映できた事は一度もなかったと思う。

時間があると図書館で漫画を読んでごろごろした。
芸工大は人が少なくて好きだった。
空気が良くて、夕日がいい。
何より「物足りない感じ」が一番好きだ。

物足りないから、それを埋めるのは自分自身なのだと、
そういう風に思う。
学生生活は、敷かれたレールではない。

学生生活は
「なかなか目的地に着かない電車」

僕はその中で結果として何にも残せなかったのだけれど、
一人でぼんやり考え続けたこと

窓から目的地が見えたとき。
僕は今まで何をやってきたか、これから何をやりたいのだろう
それはまったくぼんやりしてわからなくて
けれど

本当に感謝している。

それはきっと様々な人の学生生活にあり、いろんな学校にある。
しかし自分が過ごした場所は母校であり
その場所がもっている「空気」「空間」は
そのときの時代や人でしか作れなかった。

「世界にひとつしかない」なんていう安売りのモンではなく
もう過ぎ去ってしまい、二度と手に入りはしないし、かたちはない
でも
たくさんの人がもっている。

できるならば、
こういうものを生み出したいと思う。