・期 日 2021年6月19日(土)
・場 所 松尾湿原
・参加者 川本、東田、森川(久)、伊藤(格)、伊藤(千)、西川、安藤、湯浅、能勢、西村(昭)、山本、藤田、西村(ア)、浜地さんご夫妻(湯浅さんの友人)、松田さん、村上さん(宝塚市自然保護協会)、小宮
福井先生と息子さん、平井先生(大阪府立大教授) 、千原係長(社会教育課)
あいにくの雨にも関わらず、大勢のメンバーが湿原に集結しました。皆手慣れたもので、雨カッパに雨靴等しっかり雨対策をして臨みましたが、作業を始めるころには、いつの間にか雨は止んでいました。コロナのせいで足止めを余儀なくされた会員たちの熱気に押されて、さすがの雨も退散したかに見えました。
3月以来久しぶりの湿原では、ハッチョウトンボが元気よく飛び回っています。急遽ハッチョウトンボの数合わせからスタートした本日の活動は、足元のぬかるみに気を付け乍ら慎重に湿原内に入って調査を始めました。 湿原内にはいつものエリアを示すロープはありませんが、それぞれが割り当てられた場所に陣取り、トンボの数を数えていきます。
よく見ると羽に何やら数字のようなものが描かれているトンボがいくつか目につきました。 先日(6月9日)平井先生たちがマーキングしたハッチョウトンボたちです! 2週間から50日の寿命と言われる小さなトンボの生命力に思わず感無量の思いを抱きました。 今日は165匹のハッチョウトンボが確認できました。
続いて本日の植生調査は、モウセンゴケ、オオミズゴケ、オニスゲ、ノハナショウブ、ササユリ、アリマウマノスズクサ、カキラン、オオバノトンボソウの8種類で、それぞれ2人1組になって調査を開始しました。去年の地図の上に新たなエリアや花数、株数等を書き込んでいくお馴染みの光景が繰り広げられます。
担当したノハナショウブの花は2輪だけでしたが、よく見ると株元から直立する平たく凛とした葉の佇まいが他の株との違いを浮き立たせて、花はなくても多くの株数を記録することができました。
リーダーハウスの跡地に、会員が珍しいものを発見したと聞いて、急いで駆けつけると、シオカラトンボの羽化が正に始まったところでした。 思わずカメラを向けましたが、その後も羽化は続いていて、終に羽を広げた姿をカメラに収めたY会員の快挙に脱帽です。
午後は、昼食の後平井先生から、先日(9日)に実施したハッチョウトンボの標識調査の説明がありました。 網でハッチョウトンボを捕獲した後、小さなトンボの左下の羽に細い黒のサインペンで鏡文字を使って数字を書き込んでいくマーキング方式や、4種類(砂、水苔、水のみ、人工芝)のトレイに水を張ってトンボの好む生息環境を調べる実験等、興味深い話に参加者は釘付けになりました。
まだまだ解明されていないハッチョウトンボの生態調査を行うに当たっては、TENが杭を打って作り上げた地図がとても役立っていると知って、誇らしく思いました。
トレイの中身を全て人工物にして既存の生態系への影響に配慮するなど、さまざまな未知の取組でハッチョウトンボの謎に迫る研究の成果に期待したいと思います。
その後、来月のハッチョウトンボの観察会や2020年度の植生調査報告書の進捗状況等の報告や話し合いを得て、本日の活動は無事終了しました。
今日も松尾湿原の周りには、モリアオガエルやその卵に、チビクワガタやさまざまなトンボたちの姿が見られました。 生物多様性のこの場所に大勢の子どもたちの笑い声が戻って来ることを願って湿原を後にしました。
参加された皆さま、お疲れ様でした。 (記 小宮)