松尾湿原保全活動 イベント「里山を楽しみ湿原を守ろう」

期日 2021年11月13日(土) 
宝塚市社会教育課、宝塚自然保護協会、宝塚エコネット 共催
・場所:宝塚市自然の家
・参加者 宝塚エコネット:16名 川本、西村(昭)、東田、安藤、西川、伊藤(格)、藤田、浅倉、梶原、山本、森川、湯浅、西村(ア) 村上、小宮、福井先生 宝塚自然保護協会:10名 宝塚市社会教育課:1名

清々しい青空の下、いつものバスで一路西谷へ。毎年この時期は、宝塚市自然保護協会との共催イベント「里山を楽しみ湿原を守ろう」で、たくさんの親子連れが集い賑わうはずでした。 ところが、今年は市の広報誌への掲載が間に合わず、一般参加者ゼロという異例の幕開けとなりました。 
色鮮やかな紅葉に迎えられて湿原前に集ったのは、宝塚市自然保護協会の関係者10名とエコネットのメンバー16名。 開催宣言、自己紹介の後、恒例の足立先生の紙芝居が始まりました。
いつもの子ども向けから大人向けバージョンの紙芝居は、松尾湿原の成り立ちや歴史を丁寧に語る演出で少々長くなりましたが、皆熱心に耳を傾けていました。 人の手が入ることによって蘇る自然の営みに触れ、人と自然の共生による里山や湿原保全の大切さに改めて気付かされました。

保全活動は、上流部の枯れたコナラやアカマツの伐採と長く伸びすぎた草刈りで始まりました。チェーンソーで木を伐り出すのはベテランに任せて、刈払機や手刈りで草を刈り取る人、刈り取った草を集めて縄でしばったり、袋に詰めて湿原の外に運び出す人等、皆手際よく作業をこなしていきました。 
草が運び出された跡には、アリノトウグサの小さな葉が久しぶりに暖かい陽射しを浴びて気持ちよさそうに紅く色づいていました。

ほどなく下流部の小屋から呼び出しがかかり、クラフト作りに挑戦しました。
 ピーナツリースとヒマワリの種ボトルの野鳥の餌台は、寒くなって餌が少なくなる時期に鳥たちの胃袋を満たし、身近に野鳥観察ができる優れもので、みな我を忘れて夢中になりました。
 続いて挑んだ落ち葉の窓づくりと共に、次回のイベントで訪れる子どもたちに身近な自然を使って楽しむことや湿原保全の大切さを伝える手助けになったと思いました。
クラフトが出来上がった頃に、小屋裏に大勢の人が呼び集められました。皆が固唾をのんで見守る中、地面に無造作に置かれた古い板切れを捲ると、何とセトウチサンショウウオが深い眠りについているではありませんか。
1月の終わりごろまでこのまま越冬し、水辺に下りて卵を産むとのこと。せっかくの睡眠を邪魔して申し訳なかったのですが、生き物たちの命の営みに触れる貴重な体験でした。

先ほど伐採した木の年輪は58歳との発表があり、自然の家のオープンとほぼ同時期にここで育った木の一生に想いを馳せました。 その自然の家に朗報です!
 しばらく閉園していた園内の整備を整え来年4月からリニューアルオープンするとの発表が、市の担当者から告げられました。再びアスレチックやバーべキュー広場に子どもたちの歓声が響き渡り、松尾湿原にも大勢の人たちが訪れることでしょう。

昼食の後は、リーダーハウス跡地に集まって、今後どのようにするかを皆で話し合いました。2019年に撤去した小屋の跡地は、福井先生によると栄養分の高い湧水湿地ということで、残念ながら松尾湿原のような湿原にはならないことが分かりました。
 それでもハッチョウトンボが飛び交い、水たまりにはセトウチサンショウウオの産卵も確認されたこの地を何とかしたいという思いで、皆熱心に話し合いました。このまま放置すれば、2年ほどでハンノキが生い茂る更地になるという説明を受けて、湿原にはならなくてもそこに集う生き物たちを守りたいという気持ちを皆で共有しました。 
今後は、大阪府大の平井先生たちによるハッチョウトンボの生息調査の影響に配慮しながら、湿地の保全に努めていくことになりました。 松尾湿原の周りにまた一つ新たな世界が広がります。

後片付けを終えた湿原の周りには、リンドウの透き通るような青紫の花や真っ赤な実が目を引きました。 
清々しい秋風と陽射しを受けて、やがて訪れる冬を前に湿原の植物たちが活き活きと咲き誇っています。
今日も、無事に気持ちよく作業を終えることができました。
参加された皆様、お疲れ様でした。 (記 小宮)
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