[大人になること]
人は、よく若かったときのことを、
とくに娘ざかりの美しかったころのことを何にもまして、
いい時であったように語ります。
けれど私は自分をふり返ってみて
娘時代がよかったとはどうしても思えないのです。
といってもなにも私が特別不幸な娘時代を
送っていたわけではありません。
・・・あんな下手な絵しか描けない
自分にもどってしまったら これは自殺ものです。
失敗をかさね冷汗をかいて、少しずつ少しずつ
ものがわかりかけてきているのです。
なんで昔にもどれましょう。
でも、自分のやりかけた仕事を一歩ずつ
たゆみなく進んでいくのが、不思議なことだけれど、
この世の生き甲斐なのです。
・・・大人というものはどんなに苦労が多くても、
自分の方から人を愛していける
人間になることなんだと思います。アルバム いわさき ちひろから
大正6年生まれ
もうすぐ
92歳になる父に、過去に戻ることが出来たら
何歳の時代がよいか?たずねたことがあります。
すると即座に60歳との答えが返ってきました。
結婚前に北海道防波堤造りに強制的に行かされ、
戦争に行き、職人として一人前になるために仕事に
明け暮れていた時代を別にしても60歳とは!
70歳まで現役で仕事をこなしていた。
本人曰く、
「一通り何でも出来て人間関係を築き、
粒粒辛苦 酸いも甘いも噛み分け、自分の力を出し切って仕事の
出来る環境を作り上げ仕事にやりがいがあった。」
何でも出来る仕事人としての自分の頂点が60代だったのです。
[失敗をかさね冷汗をかいて、少しずつ
少しずつものがわかりかけてきているのです。
なんで昔にもどれましょう。]・・・ちひろさんと同じ心境だったのですね。
私は四捨五入したら父のいう60歳にもうすぐなりますが、
酸いも甘いも噛み分ける大人には、
まだまだ到底達し得ないですね〜!
写真は漬物石の上 大きなさつま芋 親戚からの頂きものです。