行動経済学と老前整理 ⑨
猛暑が続く大阪、油断をせずに熱中症にご注意を。
私が大好きで長年聞いている番組。NHKラジオ子ども科学電話相談の後半が始まりました。聴き逃しサービスもありま〜す。
先ほどの、女の子からの質問「甘いものを食べると幸せを感じるのはなぜ?」
今日は後ほどチョコレートの話を書きますので、ふむふむと聞き入ってしまいました。
今日のお題は無料の勝利。
経済学という名前がついているにもかかわらず、キーワードは心理学で、キーパーソンはノーベル賞学者というと、難しい学問でとっつきにくいと思われたでしょう。私もそう思いました。そこで、実際にどんな研究が行われたかを知れば、見方も変わると思いますので紹介します。
今日はラジオ講座でもお話しした、「無料がいかに強力か」という話です。
行動経済学者のダン・アリエリーが実験を行いました。
(ダン・アリエリー『予想通り不合理』ハヤカワ・ノンフィクション文庫より)
実験のためにアリエリーは二人の仲間と共に、チョコレートの販売を始めました。
(まずここから、親近感を覚えるでしょう?)
とてもおいしいリンツというメーカーのひとつ30セントのトリュフの高級チョコレートと、袋にたくさん入っているハーシーのキスチョコの2種類を用意し、「おひとり様ひとつまで」の張り紙を掲げ、近寄ると値段も目に入るようにしました。
トリュフを15セント、キスチョコを1セントとして販売したところ、73%の人がトリュフ、27%がミニチョコを選びました。
次に、トリュフを14セント、キスチョコを無料で提供するとどうなったでしょう。
どちらも1セントずつ安くなっただけなのに、69%の人が無料のキスチョコを選びました。トリュフの人気は73%から31%に減りました。
トリュフが15セントの時には、通常の価格30セントに比べて半額になったことがお得に感じる。しかし、キスチョコが無料になると69%が無料に飛びついてしまう。トリュフは先ほどの半額よりも、さらに1セント安くなったにもかかわらずです。
この反応の違いをどう思いますか。
身近なことで「無料」だからと、必要のないものにまで手を出していませんか。
写真はラジオ講座テキスト『老前整理の極意』のイラストです。イラストレーターは西村亜由美氏
この実験の話で、行動経済学のイメージが変わりませんか。
私は、行動経済学が机上の学問ではなく、生活の中で気づきが得られる面白い考え方で、ひいては社会を変えるかもしれない可能性を含んでいると思っています。
[お知らせ] 8月28日(火)NHKテレビ 4:50〜 「ニュース シブ5時」特集「50代からの終活 老前整理の極意」坂岡出演予定です。
(「行動経済学と老前整理」をまとめて読みたい場合は 画面左の ジャンルで「行動経済学と老前整理」をクリックするとすべてご覧いただけます)