弥生になりました。カレンダーも3月で、大阪も春が近いようです。
昨日の雨は上がり、気温は15度薄曇りです。
平成もあとわずかですね。

本日のお題は「遺品整理について」

老前整理と遺品整理は違いますが、親や家族の遺品整理が済まないことには自分の老前整理が出来ないという方もたくさんおられます。
これは老前整理の前のハードルともいえるでしょう。そこで遺品整理についてもいろいろ考えてきました。

まず、小説 老前整理 わくわく片付け講座でも書いていました。
№7 「ショックで声が出ない」は遺産問題から端を発した舅、姑の遺品整理の話。
№16 「叔母の遺品整理が人生の転機に」もアップしました。

2014年放送 NHKラジオ講座テキスト こころをよむ 『心と暮らしを軽くする「老前整理」入門」では第8回 遺品整理

2018年 NHKラジオ講座テキスト こころをよむ 『老前整理の極意』では第10回 遺品整理をどうするか

2つのテーマは同じですが違う視点で書いています。
具体例としては 東京新聞に2回コラムを書いています。
その一つが2013年9月11日掲載のこのコラムです。(イラスト なかだえり氏)

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親の遺品整理

 親の遺品整理をした経験から、「自分の子どもにこのような思いをさせたくない」という人も少なくありません。なぜ遺品整理がそれほど大変なのかといえば、まず膨大なものの量です。押入れやタンスの中に入っているものを全部出してみると、トラック数トン分はあたりまえと言っても過言ではありません。

 この何トン分もの遺品をすべて見ていくにはどれほどの時間とエネルギーが必要でしょう。なぜ細かく見なければいけないかというと、どこに何が紛れているかわからないからで、一番多いのは現金です。へそくりや何かのお金を封筒に入れてどこかにしまいこんでいたり、貴重品や通帳、印鑑などもどこにあるかわからない場合がほとんどです。そしてこの作業は、親のプライバシーを侵すことになり、知りたくなかったことまで知ることになるかもしれません。

 五〇代の女性Mさんは母親の遺品整理で引き出しの中に風呂敷包みを見つけました。衣類かと思ったら、片手で持てないくらい重いので、中を見ると全部小銭でした。ここではっと気が付いたのです。母親は軽い認知症だったのではないか。だから買い物をしても、どの硬貨を出せばよいかわからず、いつも紙幣を出し、お釣りをもらっていた。それを誰にも言えず、風呂敷に溜め込んでいた。Mさんは遠方に住み、電話だけなので、いつも「大丈夫、元気に暮らしている」という母親のことばを真に受けていたけれど、どんな思いでこの風呂敷に小銭を入れていたのかと思うとたまりませんと号泣されました。遺品整理は

残された家族にとり、心身ともに大変なことなのです。

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このコラムは拙著『転ばぬ先の「老前整理」』にも掲載しています。
子どもや家族に委ねる立場と、委ねられる立場。
もののない時代から豊かな時代になり、遺品整理がより大きな問題になったのでしょう。