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 ひとり暮らしの女性から「将来ごみ屋敷になりそうで不安です」という相談が時々あります。このような人は「何とかしなければ!」という危機感を持っている。つまり現状を理解しているということですので、それほど心配は要りません。あとは行動あるのみです。長期戦を覚悟で無理をせず、できることから少しずつ……と勧めます。

 深刻なのは問題意識のない人です。60代のK子さんはインターネットカフェで寝泊まりし、転々としているうちに倒れ、救急車で病院に運ばれました。夫の暴力で逃げているとか、借金取りに追われているとか、よほどの事情があってこのような状況に陥ったのかと思われるでしょう。

 そのときに分かったのが、庭付きの一戸建ての家があるにもかかわらず、ゴミに占領されて生活できなくなっていたことです。これこそゴミ屋敷です。

なぜそうなったのか。両親が亡くなったあと、(仕事の都合で)出勤時間が不規則だったK子さんは、決まった時間にゴミが出せなかったのです。これが何年も続いた結果がネットカフェです。

ネットカフェも時代に合わせて進化しているようで、調べてみると宿泊できたり、女性専用スペースやシャワーのあるところもあるようです。だからネットカフェなのですね。

 ほとんどの人は、住めなくなる前に何とかできなかったのかと思われるでしょう。たぶん本人もはじめは大した問題ではないと思っていたはずです。そして気がついた時には、どうにもならなくなっていた。

 残念ながらK子さんには悩みを相談したり、片付けを手伝ってくれたりする友だちもいなかったようです。そのうえ、隣近所との付き合いがなかったので、ゴミの相談ができなかったのでしょう。

 小さな問題は誰にもありますが、それを放置しておくと、このような大きな問題になることもあるのです。

『転ばぬ先の「老前整理」』2016年 東京新聞より

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