№39 ウルトラマンの恨み 子どもの心、傷つくかも

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 同世代で盛り上がる話題といえば、子どもの頃に遊んだおもちゃの話ではないでしょうか。おもちゃはもちろん世代により違い、男性では竹馬や竹トンボなどの手作りのものから独楽、紙相撲、メンコ(関西ではベッタン)、ビー玉、プロ野球選手のカード、プラモデル、紙玉鉄砲、ミニカー、野球やサッカーのボードゲーム、将棋、グリコのおまけなど、他にもたくさんあったでしょう。女性はままごと、紙の着せ替え人形から本物のミルクのみ人形、塗り絵、千代紙、おはじき、かるた、すごろく、福笑い、リリアン、ぬいぐるみ、着せ替えのリカちゃん人形などでしょうか。

 四十代の男性Jさんは幼稚園の頃からウルトラマンのソフトビニール人形を集めていました。こづかいやお年玉を貯めて次々と出てくるシリーズものの人形を机の上に並べていました。ところが何が原因かはっきり覚えていませんが、小学五年生のとき、母親がその大事な宝物を全部捨ててしまいました。たぶん、宿題をしなかったとか、そんなところでしょう。

Jさんは怒って家出を決行しかけましたが、お金もないので近所の公園をうろうろしただけで暗くなってから家に帰りました。父親には何も言いませんでした。言えば男がそんなことでめそめそするなと言われ、逆に叱られると思ったからです。このことをJさんは忘れていません。

「次は何を買おうとわくわくしながらおもちゃ屋のガラスケースをのぞき、一つずつ集めていったのに、あのときのことを考えると今でもおふくろに腹が立つ」と言います。Jさんの母親は数年前に亡くなっていますが、このことだけはいつまでたっても許せないようです。

 同じように、子どもの頃に集めていたかわいい消しゴムを母親に捨てられた五十代の女性Yさんも忘れられないとのこと。きれいなチョコレートの箱にいちごやバナナのにおいがする消しゴムや、花の形、動物の形の消しゴムが五十個以上あり、今でも覚えているそうです。

 二入ともその後、同じようなものを集める気にはならなかったと言います。Jさんはショックが大きかったのと、また捨てられるかもしれないと思ったからだそうです。母親にしてみれば効果的な罰を与えたつもりだったのかもしれませんが子どもには一番悲しいことだったようです。同じ罰でも「一週間こづかい無し」とか「一週間テレビを見せない」であれば笑い話で終わり、何十年後も忘れられない記憶とはならなかったでしょう。違う見方をすれば、子ども心に、大切なものを一番理解してほしい人に理解してもらえなかった悔しさなのかもしれません。

『転ばぬ先の「老前整理」』2016年 東京新聞より

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