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森と人との共存への道
−みんなの財産である『森林』を知って、次世代へ引き継ごう!−
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タグ:環境
[話題提供] : 兵庫県立農林水産技術総合センター 山瀬 敬太郎 主任研究員
[コーディネーター]: 兵庫県農政環境部農林水産局治山課 上田 直樹
[日時] : 平成20年9月19日(金)18:30〜20:30
[場所] : エル・おおさか(大阪府立労働センター)
[定員] : 50名
[参加費] : 無料
【企画の趣旨】
生活環境の変化に伴い、人々の暮らしと森林のかかわりが薄れ、現在では多くの森林が放置され、荒廃した状態となっています。そこで、森林機能の維持や増進、里山林の研究を行うとともに、多くの関係者に森林の大切さを普及している山瀬主任研究員に、森林の役割や現状、そして次世代へ豊かな森林を引き継ぐために今後取り組むべき維持管理などについて講演していただきました。
また、その上で、我々がこれから取り組むべき行動について議論しました。
【当日の内容】
参加者数:20名(講演者を含む)
1.森林の現状とこれからの管理(講演)
1)森林の現状
○ほとんどの森林は人間により、一度は手を加えられており、維持管理の具合により植生遷移は大きく変化するものである。
○理想的な森林の遷移は「草本群落」→「低木群落」→「雑木林・夏緑樹林」→「照葉樹林」と考えられる。
○生活環境の変化に加えて、国産材の自給率の推移が減少により、人間と森林との関わりは極めて少なくなり、放置された森林が増加している。
○放置された森林は生物多様性が損なわれ、特定の種しか生息しない森林となり、理想的な森林の遷移がなされない。
○森林には個々の土があり、その土の中に在来種の種子(埋土種子)が埋もれており、森林が再生される能力を秘めている状態にある。
○埋土種子は水の流れ等により、谷部に集中する傾向にあるが、谷部は土壌水分が多いため発芽率は低い。
○飛来種子による生物多様性も期待されるが、種子の拡散には長い月日を必要とし、京都−大阪間(40km)を種子が移動するには、約1500年も要する。
○動物による被害も近年増加しており、兵庫県をはじめとする多くの都道府県では鹿による植生被害が顕著になっている。
2)森林管理の手法について
○1つ目の手法として「環境高林管理」があり、これは落葉広葉樹の高木から構成される樹林を目指し、次の維持管理を行う。
密生している照葉樹の伐採
埋土種子の成長を妨げる林床を覆っているシダ類の刈り取り
○環境高林管理の特徴として、次のことが挙げられる。
植物の生物多様性が実現
埋土種子の復活による生態系が確保
維持管理が比較的容易なため、ボランティアによる里山林管理が可能
○二つ目の手法として「萌芽更新法」があり、これは一定規模に成長した樹木を伐採し、その切り株部から生える萌芽再生力を活かして、樹木を再生させる手法である。
○萌芽更新法の特徴として、次のことが挙げられる。
構成割合が高い林齢の樹木に対して、萌芽更新させることにより、森林の林齢構成の平準化が実現
日照条件が改善することにより、下層植生が繁茂し土砂流出が抑制される。このことにより、防災機能も向上
○同じ樹種であっても、各地域による特徴があることから、遺伝子の攪乱にも十分に配慮しなければならない。
2.意見交換会(討議)
以下に、意見交換時に出てきた質問・応答の一部をあげる。
○森林には維持管理が必要なことはわかったが、どのくらいの森林がそのような手入れを必要としているのか?
→日本に人間が全く手を加えていない原生林はほとんど残っていないので、非常に多くの森林を手入れするべきである。
○森林には水源涵養機能があるが、森林を整備する場合としない場合とではどの程度の差が生じるのか?
→正確に計測することは非常に困難であり、森林により大きく異なることが予測される。しかし、便益算定時などでは約1割の違いにより想定している。
○森林の管理という面では、林業の再生も重要な課題であると思われるがどのような取り組みをしているのか?
→林業の再生のために、様々な取り組みを実施しているが、一例としては搬出までの低コストが実現するためにも木材供給センターや林道などの基盤整備にも取り組んでいる。
(%ニコ女%)(%ニコ男%)
当日の内容はPDFで参照できます。