希望を語る・シャンソンを通して

日 時:平成21年11月21日(土)
場 所:神戸女学院大学
講 師:上西妙子氏(神戸女学院大学教授)
 先の見えない時代だからと「希望」をテーマにされました。
 氏はパリにも留学されたフランス文学の専門家で、その基本
はギリシャにありと、ギリシャ神話からスタートされました。
 最高神ゼウスは、悪徳・狂気・病気・戦争等の災いで人間を苦
しめてやろうと、絶世の美女パンドラにこれらを詰めた箱を与えて
人間界へ送りましたが、この箱には「希望」も入っており、これは人間が絶望のあまり自殺することを防止するためだったとか。
 本題のシャンソンは、かげり声で歌うもので、おおよそ「希望」という言葉は歌われないようですが、若干は存在するとかで、「モンソー公園で(イヴ・モンタン)」「ミラボー橋(イヴェット・ジロー)」「娘さん、その気でいるなら(ジュリエット・グレコ)」をCDで聞かせてくれました。
 最後の曲の詩は、「バラ色の肌・スラリとした腰・愛くるしい腕・・・」と歌い、そして「すばやい皺・重たい脂肪・たるんだ筋肉・・・」と来るべき将来を歌って、いつまでも若くないと時の流れを説明しています。
 しかし、それで抑制作用が働いて将来を見つめ直し、その先の「希望」を享受することになるそうで、これもゼウスのはかりごとかもしれません。
 結局 『人間って、いいなぁ』と思うことが「希望」に繫がるのではと思われました。