農業の実態・白書を中心に

日 時:平成21年11月27日(金)
場 所:関学会館
講 師:吉田泰治氏(九州大学農学研究院)
 WTOのドーハーラウンドが今年も不調に終わりましたが、
その原因の一端は日本の農業にもあるようです。
 中央官庁では、農林水産省は農家の立場から保護貿易
のスタンスを崩さず、また経済産業省は輸出立国の立場か
ら自由貿易のスタンスを取っているやに聞いています。
 前年度の白書によれば、日本の食糧自給率は40%と先進国の中では群を抜いて低い数値になっており、国内需要の半分以上を輸入に頼っていますが、世界の人口が65億人(’05年)から将来(’50年)は91億人になると予想されていて、現状の1.4倍の食糧が必要になってくることから、この自給率のアップが望まれるところです。
 貿易事情は現時点では、WTO(世界貿易機関)からFTA(自由貿易協定)へ移っており、各国間個別協定で凌ごうとしていますが、日本の場合最初に締結した先はシンガポールとかで、ほとんど農業に関係のないところとなっています。
 折りしも政権交代により、農家に対し「戸別所得補償制度」を導入しようとしています。
 前政権下では「規模の拡大・コストの低減」政策でしたが、今後は「小規模農家保護」に転換することになります。
 どちらが良いかはやってみないとわかりませんが、今回は「農家が安心して農業ができる」反面、生産調整や補償の仕方次第ではたいへんなコストと手間がかかります。
この制度の導入が地方の”票”目当てでなければよいのですが・・・。