「銀河鉄道の夜」を学ぶ

日 時 平成22年2月27日(土)
場 所 川西高等学校・良元分校
講 師 藤本英二氏(川西高等学校教諭)
 冬の文学講座の一環として、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を
取上げ、その意図を解明しようと企画されました。
 宮沢賢治は、今では非常にポピュラーで研究者も多い作家の
1人ですが、生前は必ずしも評価された人ではなく、出版もわず
かに2作のみでした。
 したがいまして、彼の代表作とされるこの「銀河鉄道の夜」も、死後に残された原稿から編集されたもので、1922年ごろから書き出し、1933年の死の直前まで推敲され、原稿もきちんと整理されていなかったようです。
 そこで後の文学者達が、その原稿のインクや使用された紙から厳密に検討し、現在のようになったため、第1次稿から第4次稿までが存在するという極めてめずらしい小説になっています。
 初期形と最終形では、ある章が追加されたり、ある章が削除されたりしており、主人公のジョバンニと友人のカンパネルラの境遇表現も、当初はことさら対比していたものから、最終形ではかなりぼやけた形に変わっております。
 一方 変わらぬところは何と言ってもモチーフで、一言で表現すれば「孤独」ということでしょうか。
 ただカンパネルラの死は「誰を失った」ことから来ているのかとなると、最愛の妹とし子か唯一の親友保坂嘉内かとなり、これまた意見の分かれるところで、結局 整理はされたが完成はされていないことにまだまだ謎があるようです。