日 時 平成22年3月3日(水)
場 所 兵庫県民会館
講 師 鷲尾圭司氏(独立行政法人水産大学校理事長)
瀬戸内海はその昔、その環境を生かした多様な暮らしが営まれ
てきましたが、近代工業が隆盛する時代に入って利益追求が優
先され環境への配慮が忘れられてきたことによるさまざまな暮らし
破壊を今一度考えなおそうとするセミナーでした。
日本における瀬戸内海は、元々海と人々との共生がうまくいって
いた歴史的経緯がある中、21世紀に入っても環境破壊に歯止めがかからず、再び豊かな海に再生するため、待ったなしの状況になってきた由。
ただ、各々の立場により環境価値の考え方が異なるのも事実で、たとえば市民の立場では「泳げる海、美しい海等々」、また漁業者の立場では「汚染防止、豊かな生態等々」で、反対に生物側の立場では「適当な水質、生息場所等々」であろうかと思われますし、工場側の立場もまたあると思います。
これらのどれを優先するかではなく、これからはこれらの利害関係をいかに調整するかが大事なことで、最終的には全ての者が受け入れられる解決法が必要です。
豊かな瀬戸内海を考えるにあたり、立場により異なる価値観を念頭に置いたすみ分けこそが共生への近道ではないのでしょうか。