芥川賞の制定

日 時 平成22年3月19日(金)
場 所 東公民館
講 師 吉村 稠氏(園田学園女子大学名誉教授)
 文学界の最高峰である芥川賞(&直木賞)の創設背景等について
ご教示を賜りました。
 芥川賞が制定されたのは昭和10年のことで、創設者は当時「文芸
春秋社」を経営していました作家兼事業家の菊池 寛であった由。
 菊池は、芥川(写真)とは元々親密な間柄で、芥川が昭和2年に自
殺してこの世を去ったことに一番無念さを感じていたことは明白で、芥川の葬儀に際しては、友人総代として弔辞を読んでいます。
 そしてついに「作家芥川への畏敬の念と、人間芥川への同情」により、これまた懇意にしていました直木三十五ともども両者を記念する意味で、両賞の創設にふみきりました。
 それでは、芥川賞と直木賞はどう違うのでしょうか。 当時の「芥川・直木賞宣言」によれば、
 ・芥川賞・・・無名若しくは新進作家の創作中最も優秀なるもの。
 ・直木賞・・・無名若しくは新進作家の大衆文芸中最も優秀なるもの。
とされており、芥川賞は純文学の、直木賞は大衆文学の作家に与えられるものとされています。
 今日では、文学界も「○○賞」なるものが多数作られ、賞金も多額になってきていますが、芥川賞・直木賞は100万円と他に比べて少額です。
 ただ、受賞しますと芥川賞作家・直木賞作家と呼ばれ、その名誉を獲得することが出来ます。
 因みに、栄えある第一回受賞者は「芥川賞:石川達三、直木賞:川口松太郎」でした。