禅竹と能・杜若

日 時 平成22年4月26日(月)
場 所 ソリオホール
講 師 大谷節子氏(神戸女子大学教授)
 世阿弥の娘婿・禅竹が伊勢物語の東下りを題材に、また古注
(注釈:冷泉家流伊勢物語抄や伊勢物語髄脳)の影響を受けて
創作した「能・杜若」について解説をいただきました。
 おおまかな内容は、三河の国八橋に今は盛りと咲く杜若(写真)
を眺めている僧の前に一人の女が現れ、伊勢物語の九段(東下り
)に出てくる折句の「唐衣 着つつ馴れにし 妻しあれば ・・・・・ 」の歌の話しをした後、自分の家に案内します。
 女は冠・唐衣を着てあらわれ、前者は在原業平の、後者は二条后・高子の形見と言い、自分は”杜若の精”であると名のります。

女は業平の高子への思慕やその他多くの女性との交際のこと
を述べ、業平は菩薩の化身であり、これらの女性を成仏させたと
説いて杜若の精の舞(写真)を舞って消えうせます。
 普通なら、僧がお経を読んで女を成仏させるという筋がオーソ
ドックスだと思いますが、ここでは一切僧はお経を読まずシャレた
能に仕上げているところが禅竹らしいと言えるようです。