仏と日本人 「初期寺院と古墳」

平成22年5月21日(金) 夕方の部で実施
場所:県民会館
主催:兵庫講座 2010
講師:泉森 皎 (奈良県立橿原考古いく学研究所指導研究員)
 飛鳥寺は奈良の明日香村にあり、曽我氏の氏寺で、日本最古
の本格的寺院でもある「法興寺」の後身であります。本尊は
「明日香大仏」と通称される釈迦如来、開基は蘇我馬子であり、
山号を鳥形山と称し、現在の宗派は真言宗であります。
 また、飛鳥寺には複数の呼名があります。法号は「法興時」または「元興寺」と称し、現在は馬子が建てた寺院と、その宝塔を継いで飛鳥に現存する寺院も含めて「飛鳥寺」と称しています。
 次に古墳につきましては、3世紀ころから7世紀にかけて、奈良・大阪や岡山・群馬など日本各地に多くの古墳が築造されました。現在、ほとんどの古墳には木や草が茂り、山のように見えます。しかし、築造当時は石室に土が盛られ、その周りは石が葺かれ、埴輪が並んでいました。
 これは、仏教がまだ伝来しておらず、豪族の頭が死亡の際、遺体をどのように祭ったら良いのかが不明で、それを通じてみずからの司祭権と支配権を内外に示そうとしました。また、古墳作りには多くの資材と労働力、進んだ技術を必要とする土木工事が必要となりますが、それを成し遂げることが出来るほど、強大な富と権力を持った支配者がすでにいた事の証拠になります。
 そして、各氏の家柄や勢力に応じて、身分制度が確立されていたのは驚きです。