日 時 平成22年6月19日(土)
場 所 大手前大学
講 師 辰馬朱満子氏(白鷹株式会社・副社長)
古から日本酒の産地として名高い『灘』がなぜトップブランド
と成りえたか、また地場産業として栄えた酒造りの歴史とそこ
に醸成された文化についてお話しをいただきました。
灘五郷(東郷・中郷・西郷・今津郷・西宮郷)の歴史は・・・・
室町時代に西宮で酒造りが始まり、江戸時代(1716年)に
なって初めて『灘』の名称が用いられるようになり、そして18世紀後半には伊丹や池田を押さえて、ついにトップブランドにまで成長いたしました。
灘酒がトップブランドになった要因はと言いますと、①ミネラルを含んだ硬水の「宮水」の存在、②山田錦等の「酒米」の生産、③六甲おろしの寒い環境の「風土」、④優秀な「杜氏(技術者集団の統括)」に恵まれたこと等々によるものでした。
蔵元の暮らしは、「住居と酒蔵が地続き」であり、「無駄を
はぶいた質素な実質本位の生活」を守り、メセナとは異なる
文化への寄与(私立学校の創設、美術館の建設や文化人
との交流)を行ってきた伝統にも支えられているようでした。
また、「日石事件(コンビナート計画)」や「阪神大震災」等
の危機を乗り越えてきた努力も大きかったと言えるのでは
ないでしょうか。