仏と日本人 「教信寺-称名(しょうみょう)念仏の始祖」

平成22年6月18日(金) 夕方の部で実施
場所:県民会館
主催:兵庫講座 2010
講師:及下 正史(神戸大学大学院学術推進研究員)
 天台宗の寺院で、本尊は阿弥陀如来です。奈良時代の前期の
僧、沙弥教信がこの地に庵を作りました。念仏を唱え続けて
農民を助けたり旅人を助けたので「荷送り上人」とか「阿弥陀丸」
などとも呼ばれていました。庶民仏教の普及に努めた遺跡に
建てたのが教信寺です。境内の左手奥に教信上人廟があります。特に春の桜は有名です。
 秋の9月13日の念仏大会には、数万人が訪れます。教信寺は念仏を唱えれば、極楽浄土に行けるとした「称名念仏」の先駆者と言われる教信の名を冠しています。「日本往生極楽記」には念仏を唱えていれば、死後体は鳥や獣に食われるが、顔は決して食べられないで無傷で、顔はむしろ微笑んでいるかのようだった。との記述があります。
 そんないわれのある古刹でありますが、客寄せの為の工夫も色々行っています。境内にある音楽の館「奏楽堂」では、世界的に活躍する音楽家も招き、クラシックコンサートも行っていいます。実は、長谷川住職はウィーンに留学しコントラバスの奏者でもあります。
 「キリスト教の教会には、多くの人が集い共に歌います。お寺も一部の人だけが経を読むのではなく、誰もが参加し、心癒される空間を作りたかった」とのことです。
 教信がそのアイデアを聞けば、きっと賛同してくれたと思います。