世界文学への旅立ち

日 時 平成22年12月18日(土)
場 所 大手前大学
講 師 平川大作氏(大手前大学准教授)他
 自分達の問題として世界の人々に広く読まれています村上春樹
文学の中から、2002年に発表された「海辺のカフカ」を例に、その
訴求の中味についてお話しをお伺いいたしました。
 小説のあらすじは、奇数章では15才の田村カフカ少年が主人公
で、ある日母が姉をつれて家出(母に捨てられる)し、いばりちらす
父と暮らしていましたが、エディプスコンプレックス(ギリシャ神話:父を殺し、母と交わる)から彼もまた家出をして四国の高松へ向かいます。(途中で若き日の母佐伯さんや姉のさくらさんに会う)
 また偶数章では初老のナカタさんが、猫を虐殺しようとするジョニーウォーカー(実はカフカの父)を殺し四国へ旅立つもので、話しは並行して進み、二人はいづれも途中いろいろな人に影響されながら空想の世界をさまよい、最後には現実の世界に戻ってきます。(同行者星野青年の成長過程も興味深い)

エディプス神話では、真実を知った時主人公は自分の目を突き
盲目となって世界をさまよい歩きますが、カフカ少年はプロセス
を通じて反対に直視する方を選びます。
 正に、15才の少年がいろいろなことを空想上習得し、それに
よって成長するという過程を扱った文学作品と言えます。
 近い将来、ノーベル文学賞を受賞するであろうと言われていま
す村上文学の奥深さを学んだセミナーでした。