フィクション・その多様な楽しみ

日 時 平成23年5月24日(火)
場 所 西宮大学交流センター
講 師 岩松正洋氏(関西学院大学教授)
 物語とは、①時間の中で出来事を報告するものであり、②内容
をわかった気にさせるものであり、③因果関係を説明するもので
あるとのこと。
 すなわち物語的な意味において「辻褄が合っている。」もので、
たとえば、神話・民話・童話等々がそうです。
 また英雄悲劇もしかりで、たとえばある英雄は能力があり、人並みはずれた活躍をするも、最後は処刑されたり、罠にはまったりして負けてしまう物語もあります。(ジークフリードやヤマトタケル等々)
 さてフィクション(小説)は物語の一種と言えますが、本格的な小説が出現したのは17世紀になってからで、その代表作が「ドンキホーテ(セルバンテス作)」だと言われています。
 主人公のドンキホーテは15世紀の騎士道物語を読んですっかり騎士きどりとなり、さまざまな架空の冒険をいたします。
 しかし宿屋で宿泊費を請求されると彼は頭にきます。
 なぜなら騎士道物語には、騎士が宿賃を払うシーンがないからです。
 作者も読者も旅館に泊まれば宿泊費を払うことは知っていますから、あえて書かなくてもわかっていますが、主人公一人が勘違いをし、そのギャップのおもしろさを小説は訴求しているのでしょうか。
 小説には、勧善懲悪もあれば夢落ち(結局夢だったと終わる)もあり、さらに結論を書かずに最後は読者の判断に委ねるものもあります。
 小説を通じて、いろんなパターンを楽しみましょう。