文学の中のお嬢様

日 時 平成23年6月7日(火)
場 所 神戸女学院大学
講 師 堀江珠喜氏(大阪府立大学教授)
 一般に「お嬢様」と言えばどのような人を指すのでしょう?
 芦屋在住のあるお年寄りに質問しましたところ、「お綺麗で、
お美しくて、お優しい方」と回答されたそうです。
 ブスなお嬢様だって居るはずではと思いましたが、「そう
見せないのが、お嬢様です」とのこと。
 上品で、清潔で、品のある立ち振る舞いで、お嬢様らしく見せるのだと理解いたしました。
 さて、文学の中ではどうでしょうか。
 今回は「華麗なる一族」(山崎豊子)を中心に、いくつかお話しをお伺いしました。例としては・・・
 万俵家では、一族が揃った晩餐では今夜は英語で、明晩は仏語で会話する等の習慣にしています。
 また銀平の縁談に絡んで、上流階級の定義が大介の愛人である相子から、それは①家柄、②係累、③資産、④父親の履歴と社会的地位、⑤本人の履歴・・・の五つであると話させています。
 そして銀平と万樹子のロイヤルホテルでのデート(ジュリエット・グレコのシャンソンの夕べ)では、万樹子が「まるでパリのナイトクラブに居るみたい」と銀平にささやくシーンがありますが、我々から見れば何とキザな言い方だと思うのですが、上流階級では普通の会話なのだと思い知らされます。
 服装につきましても、今夜はドレス、明晩は訪問着、その次はフォーマルスーツで・・・と気を使いますが、生活のことは全く心配していません。
 お嬢様とは、我がままとのイメージもありますが、他方では自己主張の出来る人物だとの評価もあり、結局 品格や教養があって、怖いもの知らずで、自由奔放な資産家の娘さんということになるのでしょうか。