「こうもり」の楽しみ方

日 時 平成23年6月14日(火)
場 所 兵庫県立芸術文化センター
講 師 堀内 修氏(音楽評論家)
 オペレッタの傑作「こうもり」のレクチャーの3回目があり
ました。
 「こうもり」はオペレッタの最高峰に位置しており、演出家
もさまざまな工夫を凝らしている由にて、特に注目は2幕版
(本来は3幕もの)の形式をとっていることです。
 このオペレッタは何と言っても第2幕(従来)のオルロフスキー公爵邸での夜会パーティーがメインで、ヨハン・シュトラウスⅡのワルツやポルカが連続してふんだんに出てきます。
 そしてこのパーティーでは、銀行家のアイゼンシュタインがレナール伯爵として、妻のロザリンデがハンガリーの貴族夫人として、メイドのアデーレが女優として、また刑務所長のフランクまでがフランスの貴族という触れ込みでやって来る等、まさに何でもありの内容です。
 何となくハチャメチャなようですが、実は背後にモーツアルトの「フィガロの結婚」が存在しているのにオペラファンならお気づきのはずです。
 すなわち「こうもり」のフィナーレと「フィガロの結婚」のフィナーレがあまりにも似ているということです。
 夫が妻の不貞を責めますが、どんでん返しにあって夫が妻に謝まり、そして妻は明るくこれを許すという具合です。
 今回は、ロザリンデを円熟した塩田美奈子(佐々木典子)が、アデーレを美人の誉れ高い森 麻季(小林沙羅)が演じ、牢番のフロッシュには落語家の桂 ざこばを起用しており、外国からはカウンターテナーのコヴェルスキーを招いての上演で、今からワクワクしてしまいます。<()はダブルキャスト>