美を語る「ギリシャ彫刻の美」

平成23年9月16日(金) 午後の部で実施
場所:兵庫県民会館
講師:加藤哲弘氏(関西学院大学文学部教授)
 ミロのヴィーナスは神話におけるアプロディーテの像と考えら
れています。
 高さ203cm、材質は大理石で、制作は紀元前130年頃に
アンティオキアのアレクサンドロスと他数名の彫刻家によって
作成されたと考えられています。
 ミロのヴィーナスは1820年4月8日に小作農家のヨルゴスによってオスマン帝国統治下のエーゲ海のミロス島で発見されたそうです。彼は最初監使に見つからないようヴィーナスを隠していましたが、トルコ人の監使に発見され没収され、トルコ政府の管理下になります。しかし、当時のフランス政府はこの像の価値を認めてトルコ政府より買い上げ、現在はルーブル美術館に保管されています。
 なぜヴィーナスが行方不明になったのか、紀元前のトロイア戦争によりギリシャ側が勝利し、トロイア側のアプロディーテの像は徹底的に破壊されたそうです。
 古代都市イーリオスは19世紀末、ハインリッヒ・シュリマンにより発掘されました。
 それによりますと、紀元前1200年代中期頃、トロイア戦争のあった時期、戦争によって人為的な破壊があり、トロイア戦争自体が全く絵空事ではないことも最近の研究で分かってきました。そして、自然は自然のままでは自然に見えない、自然に見えるように加えた人間の作為が「芸術」で現在は世界標準となりつつあります
 黄金分割ではなく、少し崩しているのが美しいそうです。