美を語る 「飛鳥美人の周辺」

平成23年11月18日(金) 午後の部で実施。
場所:兵庫県民会館
講師:京都橘大学 名誉教授 猪熊 兼勝 様
 歴史の研究は、「考古学」と「文献史学」に分かれています。
 1970年に見つかった高松塚古墳は1972年から発掘調査
が始まり、調査により美しい壁画が発見されたのは皆さんも
ご存知です。古墳の径は20mに過ぎませんが、飛鳥の古墳特有
の周囲の壁には日・月、四神と従者を配し、中国思想に
基づいて貴人の墓にふさわしく飾られています。この中の、西中の女子群像は発見当初は色彩鮮やかで、歴史の教科書や様々な場所で紹介され、「飛鳥美人」のニックネームで親しまれています。
 また、キトラ古墳では初めてファイバースコープを挿入して、壁面下に「玄武図」や「星宿図」が発見され、注目を集めました。また、金象眼が出土したことから、高松塚古墳より身分は低いと思われています。
 1987年、阿武山古墳の被葬者が藤原鎌足であることを突き止め、日本書紀の記述が証明されたそうです。
 そして、日本書紀によりますと、養老3年(717)には、婦人の衣服の様式を制定し、衣服の襟を右前にするとの記術があり、朝廷の儀式や衣服の形式はこのころ細かく定められたようです。しかし、一般庶民の暮らしぶりとか服装には全く記述はないので推測は難しいようです。