日 時 平成24年2月21日(火)
場 所 伊丹中央公民館
講 師 岡田保造氏(大阪成蹊短期大学名誉教授)
平家物語の精神は冒頭の文章に出てくる「諸行無常」に凝縮
されており、全12巻から成っていますが、前半の6巻に平清盛
が出てきて悪行を犯し、その報いで後半に平氏が滅亡してしま
うというもので、まさに因果応報を物語っています。
これは勝者の時代の読み本(または語り本)であることから、
当然といえば当然なのでしょうが、平氏滅亡は清盛に原因があるとしながらも、それと対比して長男の重盛は誠実な人間としてえがいているのは面白いところです。
さて清盛の悪行による悲劇の人ですが、まずは巻の一に出てくる妓王ではないでしょうか。
妓王は白拍子の名手として清盛の寵愛を一身に受け、母(刀自)と妹(妓女)とともに清盛の屋敷で何不自由なく暮らしていましたが、これまた白拍子の仏御前が現れるや清盛は妓王をあっさり捨て、母子は泣く泣く嵯峨野に隠遁いたします。(写真は、妓王と妓女の像)
しかしほどなくして仏御前も改心して出家し、結局4人で極楽往生の素懐を遂げることになります。
その他、維盛(イケメンで重盛の子)の浜宮(紀伊)での入水自殺、壇ノ浦での安徳天皇、平家の総大将・宗盛、清宗親子の斬首等々の悲劇について、お話しを賜りました。
平家物語は文学であり、史実として正しいか否かは別ですが、歴史の一つの材料ではあると思います。