小川洋子「ミーナの行進」考

日 時 平成25年8月8日(木)
場 所 宝塚西公民館
主 催 宝塚市民カレッジ
 芥川賞作家・小川洋子の「ミーナの行進」を紐解く講座でした
 彼女の作品は従来現実的と言うよりはファンタジーなもので
したが、ご主人の転勤で岡山から芦屋に転居した結果、それ
までの架空から実在の街を舞台にしたものになりました。
 この作品は、岡山に住んでいた朋子(小・6)が母が東京で
勉強することになり(父はすでに死亡)、芦屋の伯母宅に1年間預けられた出来事の話しです。
 伯母の夫(伯父)は日本人とドイツ人のハーフで会社の社長であり、私設動物園もあるスパニッシュ洋式の家に住んでいました。 子供はスイスに留学している龍一と喘息の美奈子(ミーナ・小5)がおります。
朋子にとって最初はユートピアのような生活でしたが、そのうち伯父が毎日家に帰ってこなかったり、ミーナが死について真剣に考えていたり、伯母がタバコとウィスキーの生活をしている等の現状が見えてきます。
 結局 伯父には大阪に愛人が居ることが判明しますが、特に家庭に何かが起こるわけではなく、ミーナも喘息に悩まされますが死を迎えることもなく生活は淡々と営まれていきます。明快ではありませんが、おそらくミーナは伯父と愛人との子供で、それを喘息のため環境の良い芦屋で伯母が育てていたのでは、との憶測が生じますが? 後日談ではミーナはスイスへ留学し、その後一度も家には帰らず、伯父は会社を買収されて引退して、芦屋の家も人手に渡ってしまうことになります。