日 時 平成25年10月12日(土)
場 所 関西学院大学
主 催 同大・オープンセミナー係
表題の和辻とは大正時代の哲学者・和辻哲郎のことで、あまり
一般的には知られていない学者です。
この和辻について若き日の体験を引用しながら彼の倫理観を
解説していただきました。
彼は姫路の医者の家に生まれ、父の影響を受けて育ちました。
すなわち父は「医は仁術なり」をモットーに、医者の任務は病気と闘って患者の苦しみを救うことであり、職業である以上報酬は受け取るが、しかし報酬が目的ではないとの考えの持ち主でした。
この父を模範として育った彼は、職業はお金のためではなくてその本質のためでなくてはならないと深く心に刻んだようです。
本質とはその真理を実現することで、学者としてそれを追求しようと取組みました。
また当時はどんどんと西洋文化が入って来た時代でしたが、恩師のケーベル博士は和辻にその時代の人を評して「根を移そうとせずにただ人目を驚かすように花だけを切り取って来ようとしており、それでは我が国に植物は育って来ない」と教え、表面的な西洋文化の摂取に否定的で、学ぶならキチンと学べと言われました。
現に、和辻哲郎は非常にストレートな人生を歩んだ人だったようです。