ヨーロッパへの旅と風土学の成立

日 時 平成25年10月19日(土)
場 所 関西学院大学
主 催 同大・オープンセミナー係
 大正時代の哲学者・和辻哲郎が西洋からどんどん入ってくる文
化を体験し、近代化をどう受け止め、どう研究していったか等の解
説がありました。
 和辻は「近代における本来の生活は如何なるものか。」「個人と
社会の関係は。」等々の問題に直面いたします。
 近代においては労働が機械化され、刺激の増加・欲望の拡大・生活難との戦・・・等々があって、社会統一を減少させるのではないかと考えたようです。
 すなわち表面的な近代化はあさはかなものにすぎず、本当の近代化とは日本古代文化と近代文化の融合ではと感じ、日本文化の研究にも手をつけていきます。
 和辻は1927年にドイツ留学を命ぜられ、船でアジアのシンガポール等からヨーロッパのマルセーユ等を経由していく時やドイツ留学中に旅したイギリス・フランス・イタリア等に接し、またベルリンで「存在と時間」(ハイデッカー)に出会って風土性の問題に関心を持ちました。
 「人間はすでにある世界の中に生きており、そこで存在観を会得する。」「人間は風土において己を見出す。」との考えから和辻の風土学が生まれたのでしょう。
 過剰な個人主義もいけないし、古代文化そのものでは新鮮味がなく、第3の道を模索したのでしょうか。