丸谷才一とモダニズム文学

日 時 平成25年11月3日(日)
場 所 宝塚中央図書館
主 催 宝塚中央図書館
 モダニズム文学の先駆者とも言われる丸谷才一の経歴や作品
について解説をしていただきました。
 彼は山形県の開業医の息子として生まれ、1947年に東大文
学部英文科に入学して、大学院にまで進んでいます。
 卒業後は国学院大学の講師(のち助教授)となった作家で、
東大在学中およびこの頃から歌人や国文学者とも交流しています。
 なお小説では多くの賞を受賞しており、たとえば「年の残り」で芥川賞を、「たった一人の反乱」で谷崎潤一郎賞を、「樹影譚」で川端康成賞を、「輝く日の宮」で泉鏡花賞等々です。
 今回は彼の2作目の長編小説「笹まくら」を題材にモダニズムの手法を紹介していただきました。
 ストリーは前半が戦争中に徴兵忌避者として日本全国を逃げる主人公を、後半は戦後に大学の事務員として勤務しての人事問題(左遷)を軸にした小説です。
 この小説は物語が時系列に進むのではなく、時折逆に進むもので、ストリー(時間順)とプロット(物語順)の組合せが実に巧妙に配置されており、知的構成しているところが効果的です。
 小説の題「笹まくら」は、藤原俊成の女の歌「これもまた かりそめ臥しめ ささまくら 一夜の夢の 契りばかりに」からきているとのことでした。