泉 鏡花「龍潭譚」に寄せて

日 時 平成26年10月9日(木)
場 所 宝塚西公民館
主 催 宝塚市民カレッジ
 泉 鏡花の代表作「龍潭譚」の解説がありました。
 鏡花は明治6年に父・清次(細工職人)と母・鈴(能役者の妹)
との間に生まれ、尾崎紅葉の門下生になった作家です。
 彼が10才の時に母が死亡したため、「麻耶夫人(釈迦の母)」
への信仰が深いと言われており、「龍潭譚」にも登場します。
 ストーリーは、10才になった少年(鏡花も10才の時に母を亡くしている)は父母が亡くなったため姉と二人叔父の家で育ちます。
 この少年がある日一人で山に登り、ある女性(龍の化身?)によって「神隠し」にあい、異界(他界ではない)へ連れ去られますが、あるとき再び現世に帰ってきます。
 しかし「神隠し」になった子はもはや友達からも相手にされず、やがて痩せ衰えて死をまつばかりの状態になりますが、「麻耶夫人」への信仰で生きる勇気と気力を得て、りっぱな青年(海軍少尉候補生)に成長するものです。
 生前 尾崎紅葉は鏡花を世に出そうとたいそう目をかけていたのだとか。
 因みに紅葉の目指したコンセプトは、「大衆を対象に、楽しく読んでもらえる小説を書くこと」だったそうで、鏡花は師の死後もこれを守り抜いたのだそうです。