日 時 平成30年6月1日(金)13時〜14時30分
表題の「先人たち」とは、ここでは「文学者」の数人のこと
でした。
具体的には、国木田独歩・夏目漱石・永井荷風・谷崎潤
一郎・田山花袋・村上春樹らの「ことば」や「小説」を例にした
お話しでした。
内容は、「温故知新(過去を研究見直し、正しい未来を目
指す)」がテーマです。
ここでご紹介する例は、よく知られている「三四郎」(夏目漱石作)の一節です。
この小説は、明治41年に朝日新聞に連載されたもので、その3年前がちょうど日露戦争でした。
その事柄が出てくるシーンで・・・・・
『・・・・・こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になっても駄目ですね。(中略)「しかしこれからは日本も段々発展するでしょう。」と弁護するとかの男は「亡びますね。」といった。・・・・・』
明治維新では、日本の過去の歴史を横に置き、西洋のマネに傾斜していったので、その中には「日本」が何もない、すなわち過去についてなにも学ばずに富国強兵を押し進めた結果、たしかに列強のひとつにはたまたま勝ちましたが、非常に危ういと漱石は見ていたのでしょう。
小説内の「亡びますね」は、来る第2次世界大戦の敗北を見通していたからでしょうか。