私の中の「異界」に出会う

日 時 平成30年6月8日(金)14時〜15時30分
 現(うつつ)と幻、意識と無意識等、「今、ここ」を生きなが
らも、時には「ここでないどこか」へ誘われることがあります。
 ある研究員が大学教員を辞めて、介護の世界へ飛び込
んだとかで、そこで出会った人々は老い・ケアされながら
生きているのではなく、大正・明治生まれの人が語る日本
の近代化の舞台裏についての鮮明な体験や記憶の蓄積
があった由。
 民俗学の世界(大学時代)と介護の世界の交叉が照らし出すお話しを伺うことができました。
 まず講師にとっての「異界」ですが、教育の世界ではここ200年位で近代学校教育(理性の世界観、合理的でスムーズ等)が定着してきていますが、それ以前は人生の先輩の声によって、物語や伝承によって知識を得てきましたが、これも「異界」であるのではとのことです。
 またその声から発せられる「ことば」についてですが、私たちは言葉をよく知っていますし、自由に使っていますが、最初からそうだったでしょうか。
 たとえば、生まれたばかりの赤ちゃんは言葉の意味も知らずに声を出していますが、私たちはそれに結構対応しています。
 赤ちゃんが「ブーブー」と指させば、車のことだと知ることがあります。
 このように、一見謎めいた「ことば」のようですが、これも「異界」という扉を開くものではとのことでした。