摂津国をゆく寿ぎの翁

日 時 2019年3月14日(木)13時30分〜15時
 無形文化財の翁舞についてのお話しです。
 「隣忠見聞集」(能楽史料)に「幸太夫はいつ頃よりか小鼓と
なる、是今の幸家なり」とあり、能楽家・幸家(神戸市摩耶山
上野村)が翁舞を行っていたようです。
 その昔、孝謙天皇の頃に干ばつ時に幸家が翁舞で雨を降ら
せた功により、「王」の字を賜り、その後は「幸王太夫」と呼ば
れるようになった由です。

この翁舞は明治時代までは広く行われていたようで、
「西摂大鑑」(明治44年刊)によれば、「翁面 俗に雨乞い
の面といふ・・中略・・幸王太夫は薪の能に出勤」とあり。
 特に神戸北区を中心に出向いていて、秋の祭礼に翁舞
を行ってもらった御礼に地元の人がお米を送った記録が
あり、それによれば現在の神戸電鉄沿線の西畑、屏風村
五社八幡、堀越、唐櫃等々の地名が見てとれました。
 なお翁舞は「舞う」と言わず「ふむ」と言うのだそうです。