日 時 2019年3月19日(火)13時30分〜15時
万葉集において「藤」を詠んだ歌は27首ある由にて、
それらの中から代表的なものをご教示いただきました。
「ふじ」は「藤」で「吹き散る」の意味があり、マメ科の
蔓性落葉低木です。
藤の出てくる一番古い書物は古事記の中巻・応仁条
だそうで、藤には霊力があるという話しがあるとのこと。
また佐賀県に「藤津郡」という所がありますが、これは
日本武尊がクマソ退治の時に舟を藤の木につないだという伝説からきている由。
その他明石市にも「藤江」という地名があり、これは「播磨国風土記」に出てくるとのこと。
さて本論の万葉集からは、まず防人の歌のひとつで「藤波の 花は盛りに なりにけり 奈良の都を 思ほすや君」(ここ大宰府の藤の花が今満開になりましたが、奈良の都も満開のはずで、あなたの都の邸宅を思い出されることでしょう)がありました。
そして山部赤人の歌は「恋しけば 形見にせむと 我がやどに 植えし藤波 今咲きにけり」(恋しいあなたを思って私の家の庭に植えた藤が今咲いてきました)です。
また「ほととぎす 来鳴きとよもす 岡辺なる 藤波見には 君は来じとや」(ほととぎすがやって来て鳴くここの見事な藤をあなたは見にこないのでしょうか)と藤にかこつけて誘っている歌です。
その他、上記の短歌とは別に長歌についてもご披露いただきました。