苦楽園に住んだ作家

日 時 2019年4月11日(木)10時〜11時30分
 阪神間ゆかりの作家から今回は長く苦楽園に住み(30年間)
どん底の生活を送りながら作家活動を続けた「黒岩重吾」につ
いてのお話しでした。
 彼は1924年に大阪市此花区に生まれ、同志社大学を卒業
して證券会社に勤めたり、株ブローカーなどをしていましたが、
全身マヒ等により思うような生活ができませんでした。
 その後執筆活動に入り、1961年の長編小説「背徳のメス」が
直木賞を受賞し、一躍社会派ミステリーの第一人者に躍り出ました。
 しかし彼はほどなく古代史ロマンに転身していきます。
 その理由は、第一に青少年時代の遊び場が百舌鳥古墳群周辺(仁徳天皇陵等)であったこと。
 第二にドライブで訪れた橿原神宮(神武天皇を祀る)において啓示とも受け取れる体験をしたこと。
 第三は昭和47年に高松塚古墳の壁画が発見されたこと・・・が一本の回路につながったからです。
 最初の古代史小説は「天の川の太陽」で、吉川英治文学賞を受賞するなど、高い評価を得ました。
 その内容は、大海人皇子(後の天武天皇)を主人公に、古代史最大の内戦と言われる壬申の乱に至るまでの10年余りを、朝鮮半島の情勢をからめながら描いている大作です。
 以後、「紅蓮の女王・小説推古女帝」「落日の王子・蘇我入鹿」「天翔ける白日・小説大津皇子」「聖徳太子・日の影の王子」など話題作を次々と発表していったとのことでした。