日 時 2019年8月8日(木)14時〜15時30分
関西文化に育まれた今回の文学は泉鏡花の「天守物語」が
取り上げられました。
泉鏡花は明治6年に、父:清次(彫金師)と母:鈴(能役者の
妹)の間に金沢で生まれました。
10才の時に母が他界し、17才で上京して尾崎紅葉の内弟
子となり、翌年からは新聞の連載も始めます。
しかしほどなく金沢の実家が火事で焼失し、父を亡くして
生活は困窮いたしますが、この頃に読売新聞に連載した「議血狭血」(滝の白糸)が大ヒットし、作家としての評価を獲得いたしました。
さて今回ご紹介いただきました「天守物語」ですが、人間世界と妖怪世界の対立を描いた作品です。
あらすじは、姫路城の天守閣に自害した怪しい夫人:富姫が妖怪となって侍女達と住んでいますが、そこへ猪苗代からやはり妖怪の亀姫が来訪し、土産に生首をもらいます。
富姫はお返しに城主のたいせつな白鷹を取って送るのですが、その鷹を探しに天守閣に上がって来た図書之助と富姫は恋に落ち、事態は思わぬ方向へ・・・・・
彼は生前これをなんとか舞台化したかったようですが、存命中は実現することはなく、第2次世界大戦後に新派(水谷八重子等)で初演され、1961年には宝塚歌劇(天津乙女等)でも上演、さらに1995年には宮沢りえ主演で映画化もされました。