「行人」と「こころ」を巡る

日 時 2019年10月15日(火)13時30分〜15時30分
 小説家・評論家・英文学者・・・として有名な夏目漱石(本名;
夏目金之助)の作品「行人」と「こころ」について、その内容など
をお伺いしてきました。(写真は漱石:ネット)
 漱石は明治44年(1911)に関西に講演に来ましたが、胃潰瘍
が悪化し緊急入院いたしました。
 その体験を取り入れたのが「行人」である由です。
 実際 彼は1人で関西に来たのですが、この小説では母・一郎
(兄)・二郎(私)・直(兄嫁)の4人で観光に来た設定で、一郎は二郎に妻・直の心が解らないので、探ってくれるように頼みます。
 一郎は大学教授で頭は良いのですが、人の心すなわち自分の妻の心さえつかめないでいる人です。
 結局 一郎は「死ぬか、気が違うか、宗教に入るか」と考えてしまいます。
 「行人」はプライドを捨て、教えを乞う自由な心が救いとなるのでは・・・と語っているようでした。
 そして続いて執筆された「こころ」ですが、これは私(当時高校生)と先生が鎌倉の海岸で出会い、その数年後先生が自殺を前に書いた遺書を受け取り、人生を考えさせられるもので、先生が親の遺産を叔父に横取りされて身内も信用出来なくなったり、先生の同級生Kの好きだった下宿のお嬢さんと先生は結婚してKを自殺に追い込んだりした内容が書かれていました。
 この小説は、人間の心を先生から私へ、私から読者へと伝達されていく重さを感じさせるものでした。