処世訓の傑作を学ぶ

日 時 2020年10月12日(月)14時〜15時30分
 中国・明時代に登場した処世訓「呻吟語」について学ぶ機会が
ありました。
 「呻吟」のもともとの意味は、「苦しみあえぐ声」だそうですが、
内容は決して堅苦しいものではありませんでした。
 すなわち日々に役立つ知恵が満載で、たとえば「人間の品格
とは」「暮らしの心がけは」「世の中の流れへの対処は」・・・等々。
 著者は呂坤(1536〜1618)という人で、実に30年の歳月を
かけて書き上げたと言われる処世訓の傑作だとか。
 冒頭の「性命篇」は陽明学の最重要テーマであった人間の本性や運命について、また続く「存心篇」は心の在り方についての言葉を集めている由です。
 日本での高名な愛読者のひとりに大坂奉行所の与力であった大塩平八郎が居り、1837年の挙兵の思想的背景に陽明学があったとのことでした。
 具体的に名言集の一部をご紹介しますと・・・・・
 ・人の最大の過ちは自分だけが正しいとし、自分だけを守ろうとすることだ。(修身篇)
 ・うわついた議論が横行する風潮に心が痛む。(世運篇)
 ・多くの人が言っているから正しいとは限らない。(治道篇)
 ・あの世へ持っていくものは「物」ではなく、「心」である。(存心篇)
 ・才能と学問は剣のごとし。(問学篇) ・・・・・等々