ハラハラ・ドキドキが止まらない

日 時 平成24年6月7日(木)
場 所 兵庫県立芸術文化センター
講 師 日下部吉彦氏(大阪音楽大学客員教授)
 オペラ「トスカ」のプレ・レクチャーです。
 プッチーニの代表作であるこのオペラの特徴は、①最初の5分
で会場の心をつかむ、②時代を先取りしたお洒落、③普通の恋
愛物ではない社会悲劇である・・・等々でしょうか。
 通常のオペラはまず序曲から始まりますが、このオペラは幕が
上がると同時に物語は進行し、いきなり緊張感が走ります。
 第1幕のドキドキは、冒頭の脱獄囚(アンジェロッティ)が教会に逃げ込んでくるシーンで、ハラハラはそれを追いかけてきた警視総監(スカルピア)が、脱獄仲間の画家(カヴァラドッシ)とその恋人の歌姫(トスカ)をわざと泳がせ、「1人(画家)は絞首刑に、1人(歌姫)は腕の中に・・・」とほくそ笑むところでしょう。
 第2幕のドキドキは、スカルピアが拷問で悲鳴をあげているカヴァラドッシの声を恋人のトスカに聞かせせまる場面で、ハラハラはトスカが意を決してナイフでスカルピアを刺殺するシーンです。
 そして第3幕のドキドキは、カヴァラドッシの見せかけの処刑が実は本物であるくだりで、最後のハラハラは万事休したトスカが「スカルピア!神の前で・・・」と叫んでサンタンジェロ城から身を投げる終焉です。
 このオペラは前述のように息もつかせぬ展開で、まるでテレビのサスペンス・ドラマを見ているがごとき迫力に魅力があると言えます。(写真は、トスカが身を投げたサンタンジェロ城です。)