日 時 平成24年7月26日(木)
場 所 西宮大学交流センター
講 師 津上智実氏(神戸女学院大学教授)
モンテヴェルディの最後のオペラ「ポッペーアの戴冠」を題材
に不道徳が道徳に勝利するという異色の物語についてご教示
いただきました。
17世紀も後半に入りますと、それまでのギリシャ神話を題材
にしたものから、徐々に実在の人物を扱ったものへ変化します
オペラの内容は、ローマの美女・ポッペーアは過去に2度結婚していましたが、その夫を捨て、ネローネ(ローマ皇帝ネロ)の寵愛を受け、皇后にまで上りつめるというお話しで、ネローネはまず現皇后・オッターヴィアと離婚しようとするのを諌める哲学者・セネカを自害に追い込みます。
またオッターヴィアは自分の地位が危ないのに感づき、ポッペーアを暗殺しようとしますが失敗して島流しになってしまい、ついにポッペーアは皇后として戴冠することになります。
すなわち自分の出世のために夫を捨て、忠臣を自害させ、現皇后を廃してしまうという不道徳極まりない物語なのです。
このオペラはヴェネツィアで作られたものですが、当時ヴェネツィアとローマは緊張関係にあったことからうなづける内容であるとも言えます。
しかし筋はともかく、「戴冠の場・愛の二重唱」(写真)等の音楽はすばらしく、価値ある作品です。