記・紀編纂の不思議

日 時 平成24年9月7日(金)
場 所 池田泉州銀行講堂
講 師 佐古和枝氏(関西外国語大学教授)
 日本最古の歴史書「古事記」が編纂されて1300年を迎え、
同時代に同種のもの(古事記と日本書紀)が作成された経緯
等について、ご説明をお伺いいたしました。
 記・紀の特徴ですが、古事記は天武天皇が太安万侶に日継
(天皇の系譜)や旧辞(伝承)の誤りを除き真実を記載するよう
命じたのに対し、日本書紀は同天皇が川嶋皇子らに帝紀や諸事の記定を命じたものであること。
 前者は712年に全三巻を、後者は720年に全三十巻を完成させたこと。
 そして前者は神代から推古朝までを変体漢文で、後者は神代から持統朝までを漢文で記述されていること。 ・・・・・等々でしょう。
 一応 古事記は国内向けで、天皇による中央集権化の正当性を知らしめる目的があり、日本書紀は国際社会向けに、日本の国づくりやその経緯を紹介したものとされているようです。
 天武天皇が即位した7世紀と言えば、645年に大化のクーデターが、また672年に古代最大の内戦である壬申の乱等が起こっています。
 また三韓(百済・新羅・高句麗)でも王族と家臣が対立して不安定な時期でもあり、日本の国際的位置固めや内政の引き締め等も、記・紀編纂に大いに関係しているとの見方もあるようでした。