ひょうご講座 「我々の生きる科学技術社会」

平成:24年9月13日 (木) 午後の部で実施
場所:県民会館
講師:甲南大学マネジメント創造学部 太田 雅久 様
 近代科学は、古代ギリシャで生まれました。そこでは現在で
いう哲学のみならず、自然学や数学を含む、学問の総称です。
 その後も幾多の戦争をきっかけに、市場経済と科学技術は
目覚ましい発展を遂げてゆきます。しかし現代では取り返しの
きかないリスクとして、リスクが顕在化しているのも事実です。
 あのノーベル賞の湯川秀樹博士も「科学とは非人間性のもので、科学の知識には限界がある」と言われたそうです。日本では福島原発事故が起こりました。人類はその過程において直面する種々のリスクに対処してきました。そして、これからどう対処するのかが肝心です。
 また、原水爆の材料のウラン235は、普通火薬の約1000万倍もの威力があり、リーゼ・マイトナー(女性物理学者)はヒトラー政権の時、ナチスから糾弾を受け、最後はスウエーデンまで亡命を余儀無くしました。そして、ドイツを滅ぼす目的で特殊爆弾の研究をしましたが、ドイツが先に降伏し、同じ同盟国の日本に世界で初めて、人間に対して使われたのはご存じのとおりです。
 科学現象はすべて説明できないし、科学は人間の為になるとは限りません。科学技術は自然では起こらない物を起こそうとしています。
 今後は、自然と人間の言葉の架け橋が必要です。科学者と市民の合意形成が必要と思われます。