日本のノーベル文学賞作家

日 時 平成24年11月8日(木)
場 所 芦屋市民センター
講 師 土居 豊氏(作家)
 今年こそ村上春樹がノーベル賞に選ばれるのでは、との期待が
ありましたが残念な結果になりました。
 ここ数年ノーベル賞にノミネートされているとの報道がマスコミ
から伝えられていましたが、これは単なる憶測なのだそうです。
 日本の芥川賞等は候補作品も公表されますが、ノーベル賞は
厳重な秘密が保たれているため、不明というのが本当のところです。
 ただ受賞者を選ぶ選考過程は極秘ですが、50年を経過すると選考資料は公開されるようです。
 過去に日本人でノーベル文学賞を受賞した作家は、川端康成と大江健三郎の2名です。
 川端康成(1968年受賞)は、「伊豆の踊子」「雪国」等、日本人の心情の本質を描いた非常に繊細な表現による叙述の卓越さに対し、また大江健三郎(1994年受賞)は、「万延元年のフットボール」等、詩的な言語を用いて現実と神話の混交する世界を創造し、窮地にある現代人の姿を見る者を当惑させるような絵図に描いた功績に対して評価されたとのことでした。
 因みに50年経過して公開された選考資料のうち、1961年の資料でこの年のノーベル文学賞候補に川端康成が含まれていたことが確認されており、受賞の7年前からすでに注目されていたことが解りました。
大江健三郎の経過については、今しばらく時間が必要なようです。