日 時 平成24年11月22日(木)
場 所 西宮大学交流センター
講 師 中島俊郎氏(甲南大学教授)
なぜ人は本を読むのでしょうか。
おそらく「学力が身につく」とか「人間形成に寄与する」等
でしょうが、今回はこれらの視点からイギリス文化史を教材
に解説をしていただきました。
イギリスでは印刷が始まった頃の識字率は60%未満で、
まだまだ書籍は大衆のものではなかったようです。
また印刷会社の植字工の賃金が高く(パン職人の5倍)、かつ原材料の紙も高価でしたから、本はごく一部の限られた人しか持つことができませんでした。(持つことがステータス)
しかし19世紀後半になりますと、文庫本的な廉価な出版物が世に提供されるようになり、読者層は徐々に拡大していきました。
ただ当時の大衆本は”立身出世”ものが多く、身分が低く無学の者が大業を成し遂げるという内容で、たとえばジョセフ・ライト(写真)も子供の頃は2〜3年しか正規の教育は受けられず、10才くらいから少額の給金で働き、読書による勉学で言語・文献学者になった人です。
読書の最も重要なものは、感性や知識の習得・人格や状況を読み取る力等を醸成し、生活に必要な能力を身につけることですが、これは受け身ではダメで向き合ってこその影響力であるようです。