中国文明の謎を探る

日 時 平成25年2月8日(金)
場 所 ルナホール
講 師 曾布川 寛氏(京都大学名誉教授)
 2月2日から神戸市立博物館で行われている「中国王朝の至宝」
展を記念して標記のセミナーが開かれました。
 展示物は中国最初の王朝「夏」から「宋」の時代にわたる文物だ
そうですが、今回は ①四川古代王国の文物、②秦始皇帝陵の
文物に的を絞り、解説をしていただきました。
 ①からは、三星堆遺跡と金沙遺跡から出土したものの紹介で、たとえば「銅神壇」(地下・地上・天上の神話的宇宙観を表すもの。)、「銅神面具」(天上から下った祖霊の象徴。)等々で、いずれも天上世界の天帝が至高の存在として信仰され、その祭祀をシャーマン(又は王)が行ったものとのことです。
 ②からは、秦始皇帝陵の東1.2㎞で発見された「兵馬俑」の解説でした。
 秦始皇帝は、戦国の世に東方六国(楚・斉・燕・・・)を滅ぼして天下統一を成し、初めて「皇帝」を称した人で、自らが天帝となりました。
 兵馬俑は、等身大・実戦用の武器の携帯・厳密な階級の区別・一体ずつ異なる容貌等が特徴で、これは実在した近衛兵をモデルにしたものと言われています。
 前者の四川古代王国は天に対する信仰が根本でしたが、後者の秦は始皇帝が自ら天帝を称したため、天に昇ることはなく死しても墓室内に住むこととなり、まさに二様のありさまとなっています。